4月19日 学習会「秘密保護法」で原発推進・戦争準備~「市民が主権者」を否定して安倍政権が目指す社会は…? 講師 海渡雄一さん(弁護士)報告

  約2時間にわたり、原発事故と情報秘匿、秘密保護法の問題点、どんな社会になるのか、私たちはどういう運動を進めていけばよいのか、などなど語っていただきました。以下、要約します。

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◆原発事故では、東電と国を守るための秘密があり、人の命は守られなかった
 福島原発事故を巡る「秘密」の話。東京電力は11年3月7日(事故の4日前!)に福島原発における津波評価について15.7mと国に報告していた。しかし11日の津波の浸水高は15.5mだったにもかかわらず「想定外」だと言い続け、この報告を国も秘匿し続けた。浪江町の請戸の浜では、住民に放射線量の正確な情報があれば、全員避難命令で救助を断念することなく救えた命もたくさんあったし、山側の線量が高い地域に避難せずに済んだはずだ。
 

◆特定秘密保護法の問題点
 国会で議論が尽くされず、強行採決という形で成立したが、特定秘密の範囲が広くかつ不明確であり、刑罰も重い。何が秘密指定されるかわからず、秘密の解除の基準もあいまい。「政府に不都合なことは秘密にしてはいけない」とは書いていないし、秘密指定についてチェックする「第3者機関」はないなど多くの問題がある。
 アメリカに対しては秘密を共有するという意思も明らか。しかしその内容を知ろうとするジャーナリストや市民活動家(たとえば原発反対や基地反対など)を監視と取締りの対象としている。これは戦前の治安維持法を思い起こさせる。

◆安倍政権のもくろみ
 今、安倍政権は、集団的自衛権の行使の容認、解釈改憲に突き進んでいる。これらを認めれば、アメリカが世界で進める戦争に日本も参加することになる。憲法9条があったからこそ、戦後日本は海外で戦闘を行なわず戦死者もなかったが、それを否定する体制つくりのために、政府に都合の悪い事実を秘密にしようとするのがこの法律である。

◆法律の廃止は可能だ
 安倍政権は本当に「戦争のできる国」、国民を黙らせる国に作り替えようとしている。このまま市民が黙っていては、秘密保護法も戦前の治安維持法のように、さらに厳罰化へと修正され、過ちを繰り返すことになる。国際的には「ツワネ原則」(国家安全保障と情報への権利に関する国際原則)が昨年作成されている。安全保障と市民の知る権利の両立のための指針であるが、秘密保護法はそれに抵触しているものである。
 安倍政権のひどさを忘れず、反対の声を挙げ続けることで、法律を廃止させなくてはいけない。

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 国民に都合の悪い情報が隠され、市民運動を公安が監視する社会をつくるわけにはいきません。主権者として情報を知る権利があると言い続けなくてはいけない、黙っていては政府の思うつぼであるということを実感したお話でした。