「昭島の地下水水道とまちづくりを知る1日散歩」ツアー報告

 9月17日、水政策研究所主催による昭島での見学ツアーに環境部会メンバー2名が参加しました。知る人ぞ知る、昭島市の水道水は100%深層地下水が供給されている都内では唯一の自治体です。それを可能にしているのは、水道事業が市の独自事業だということがあるのだと思います。

多摩地域の水道事業

 1950年代、多摩地域の自治体は昭島と同じように地下水での水道事業を行っていました。それが1960~70年代、人口増加により地下水の水位低下が危惧され、河川水からの取り水が必要になり、自治体事業から東京都水道事業への一元化が順次進みました。
昭島市が独自事業として維持できたのは「昭島市の位置が関東盆水の一番いいところにあり、揚水と人口バランスが取れているなど条件に恵まれたから」と昭島市水道部の職員は話していましたが、それだけではない諸々の背景(労働組合とか)があったようです。ちなみに府中市は1975年に統合され、調布・三鷹市は2000年でした。

 水道施設を職員の案内で見学しましたが、地下水を水源としていることで(河川水には不可欠な)浄水施設の必要がなく、くみ上げた地下水は給水のために義務づけられている最低限の消毒剤を加えるだけで各家庭の蛇口につながっている、というとてもシンプルな仕組みでした。
そのため昭島の水道料金は都内で一番安いのだそうです。それ以上に、自治体が生活に不可欠な「水」を管理するシステムをしっかりと把握している、ということの重要性を感じました。目に見えない地下水も、地下水位や流動調査を行うことで可視化されている、というのも発見でした。

府中市の武蔵台5号水源井

 府中市の水道水は27本の深層水源井と東村山浄水場から来る河川水とのブレンド水です。約30年前、武蔵台5号水源井でトリクロロエチレンが検出され飲料水の水源としては使えなくなったことがありました。
東京都は東八道路工事時に井戸を埋めようとしましたが、生活者ネットワークを含め多くの市民が汚染水を地下にとどめるのではなくくみ上げ、バっ気することを求め、実現させました。現在も5号井戸ではバっ気を続け、浄化された水を地下に戻しているはず・・・です?

 実は、府中ネットでは、長年水源井の検査数値を追いかけていたのですが、最近は調査が中断されていました。今回の昭島ツアーに参加したことで、改めて水道水や地下水について調べてみたいと思いました。