PFAS集会 基調講演 講師:寺田良一さん(7月27日) 

いよいよPFAS(有機フッ素化合物)の問題は、米軍基地の泡消火剤だけでなく、多摩地域の問題だけでもなく全国に広がっています。PFASは総称であり、PFOSやPFOA、PFHⅹS(これらはいずれも製造・輸入が禁止)など物質数は5000~1万以上ともいわれ、人工的に作れることから、規制がかかれば、次々に似たような規制外のものをつくれる。自然界ではほとんど分解されない。体内に蓄積されやすい…と言えば、ダイオキシン、トリクロロエチレンなどの有機塩素化合物を想起させます(どちらも『有機ハロゲン化合物』)。そのトリクロロエチレンでも、多摩地域は過去1990年代に地下水汚染に見舞われたのでした。
7月27日に東京・生活者ネットワーク主催で、寺田良一先生(明治大学名誉教授、環境社会学)を講師に「安全な地下水を取り戻す未来のために~PFAS汚染に対して私たちにできること~」と題したPFAS集会が行なわれました。寺田先生は府中市民としてトリクロロエチレンの汚染調査や自治体の対策に関わってこられた経験から、PFASはトリクロロエチレンと違い、府中市が武蔵台浄水所で行なっている「曝気(ばっ気)」では除去できないこと、「極度に難分解性で地下水・水道水にとどまらない大気、土壌汚染をもたらす」こと、「産業廃棄物処分場や工場跡地などの監視が長期に必要になること」などを挙げられました。いまさらながら、その汚染の深刻さ、重大さに驚きました。しかし半導体や電機・自動車の部品に使われ、軍事や経済安全保障に関わる物質であることが、規制を妨げているのでしょう。
岡山県吉備中央町の水道水汚染では、資材置き場に残された使用済み活性炭から環境目標値の9万倍もの数値が検出されたことが大きく報道されました。ほかの地下水や川の調査で目標値を超えたところでも、その発生源の特定や調査ができないことがあり、そこには現実の壁(日米地位協定など)があります。
国にはPFOS、PFOA、PFHⅹSだけではなく包括的なPFAS規制が必要です。そして自治体には住民の健康の視点から調査と汚染除去の対策を。府中市は周辺自治体に比べてその意欲に欠けることが、周辺の地域ネットによる「健康調査や地下水・水道調査報告」からも明らかでした。私たちはもっと声を上げなければと反省させられました。

基調講演 寺田先生