学習会報告「子どもたちを取り巻くデジタルメディア環境~その健康リスクと依存症を考える~」
7月5日(土)に行われた上田昌文さん(市民科学研究室)講演会の報告です。
親が使うことで身近にスマホがある今の時代、子どもたちは幼児期からスマホ操作に慣れています。生活にはスマホのネット情報が欠かせない時代ですが、子ども時代から使い続けることで身体や精神面に影響はないのか…。電磁波の健康影響を中心に調査・研究してきた上田昌文さんにお話を聞きました。
10代、20代(Z世代)の7割はテレビや新聞など紙媒体ではなくネットで情報を得ており、高校生のスマホ利用者の4割は、1日4時間近くネットを利用しています。2023年の政府の調査では、高校生の平日のネット利用が平均6時間14分に上るとされ、スマホが手放せない、手元にないと不安といった「ネット依存」が疑われる中高生は全国で推計93万人、12~16%。思春期には仮想空間のネットの世界が無限に思えるのか・・。そこを承知で巨大IT企業は次々とゲームを勧め、のめり込む技術を繰り出しています。健康上では身体活動の低下と目への悪影響も明らかになりつつあり、見過ごしてはいけないはずです。
海外では学校でのスマホ禁止が広がっています。フランスでは学校での15歳未満のスマホ規制が先行し、オーストラリアでは16歳未満のSNS使用を禁止する法律ができました(2025年12月施行)。ところが逆に、日本は「GIGAスクール」で1人1台端末機器が与えられています。読み書きの能力低下や授業の困難さも指摘されますが、全く規制をかけない日本は少数派になりつつあります。
ネット依存は、子どもと親の関係性の問題(自己責任)ではありません。巨大IT企業の責任は大きいものの、ネット依存に対処するには、脱デジタル仲間を増やして学校や仲間で話し合うことが大事で、そうした実例がたくさんあります。子ども時代には外遊びなど、世の中にはたくさんスマホより楽しい体験があり、それを大人が提供する責任があるのではないかと強調されました。
生活者ネットワークでは子どもたちを取り巻くデジタルメディア環境について疑問や意見などを募集し、アンケート調査も行ないました。スマホの長時間利用やSNSについては気になるという回答が寄せられています。GIGAスクール構想などについても、一度立ち止まって子どもたちへの影響を検証するべきだと思います。

上田昌文さん(講師)と奥村さち子
※ 講演動画がご覧いただけます。動画をご覧になりたい方は下記までメールにてご連絡ください。
府中・生活者ネットワーク e-mail : fuchu-snet@ric.hi-ho.ne.jp