パワーシフト学習会 「電力改革」を原発のない社会のために活かそう! 報告

 いよいよ再稼働が8月にも実施されようという情勢の中、福島事故以前から原発はいらない!と立証してきた熊本一規先生(明治学院大学)を招き、7月18日(土)学習会を開きました。予想を超える参加者があり、関心の高さがわかりました。

*原発は「重要なベースロード電源」どころか失格電源である!

 国は、昨年の「エネルギー基本計画」の中で「原発は重要なベースロード電源」と位置付け、先日7月16日には、経産省が決めた2030年の電源構成(エネルギーミックス)でも「発電コストが安く安定している」として20%~22%としました。国は「ベースロード電源」とは「低廉で安定的」なものと定義しています。それに対する反論から説明されました。
 原発が、「安い」と言えるためには「設備利用率」が80%以上であることが、他の電源との比較算定で必要だそうです。しかし実際は2010年(事故以前)までの10年平均でも70%以下であり、しかも地震大国なため「安定的」であるとも言えず、原発は「ベースロード電源」の要件も満たせない「失格電源である」と、地震大国で原発を作ってきたことの誤りを論証されました。
 
*「原発の電気が一番安い」は誤り

 従来の「モデル試算」に、福島原発事故後は「コスト等検証委員会」によって「社会的費用」(原発は事故リスク費用や交付金など、火力はCO2対策費用)が盛り込まれましたが、それでも「原発が一番安い」と国は説明しています。その説明の誤りを指摘されました。
 原子力は設備利用率が70%と設定されていることで安く見積もられ、火力はCO2対策費用が過大に見積もられていました。これが是正されればコストは逆転すると言います。国がどうしても「原発は安い!」としたいカラクリを教えてくれました。

*「電力システム改革」を機会に「脱原発」を!

 2016年から、需要の3割を占める家庭用にも新しい電力会社の参入が認められ、私たちは東電からだけではなく、自由に電力会社を選べるようになります。しかし対等に競争できるような規制(イコールフッティング)をかけないと、従来の地域独占の電力会社の1人勝ちになるとして、条件整備のあり方をドイツの例などで説明されました。特に、消費者が会社を選択ができるように、電力会社が電源の種類をすべて公表するのは当然だと力説されました。
 これまでの電力会社と経産省との癒着で進められてきた電源開発や地域独占体制をなくし、原発のない社会を実現させるために、私たちは電力改革のあり方に監視を強めていきましょう、と結ばれました。