9月27日(日)、南相馬市に「菜の花の種まき会」に行ってきました!  

*「菜の花」に賭ける思いを杉内さんから聞く

  昨年9月、私たちは「南相馬農地再生協議会」代表の杉内清繁さんのお話を伺いました。杉内さんは長年、有機の農業で野菜や米を作っていました。しかし2011年3月の大震災と原発事故により、地域の用水路は地震で寸断、田畑は海水による塩害、しかも土壌の放射能は山のほうの水源から運ばれてくるのかなかなか減らず、作付制限、風評被害と、耕作をあきらめる農民が続々の状況で、特に放射能値が高い小高区は94%の農地が放棄されてしまったそうです。
  しかし、杉内さんは、あきらめるわけにはいかないと、有機農業を続ける決断をしました。「今までは恵まれた環境と自然があたりまえだった。それらを奪われて初めてそのありがたさ、貴重さがわかった。農薬を使わない、遺伝子組み換えを取り込まない、放射能も除去する地産地消の農業を続け、子どもたちに伝えたい」。子どもたちに地域再生の想いをつなげたい、このままでは村が亡くなってしまうという危機感が迫るお話でした。

*「油菜ちゃん」ができるまで

  事故後、チェルノブイリで行われている「菜の花プロジェクト」の実践を学び、ナタネを植えました。ナタネは土壌を少しずつ浄化させます。子実に放射能は移行しないので、熱も薬品も加えず実を絞ったナタネ油の販売が実現しました。地元の相馬農業高校の生徒さんたちが「油菜ちゃん」という名前を考え、ラベルを書きました。また石鹸の原料や燃料として活用し、搾りかすはバイオガスやたい肥として圃場へ還元させながら、コメや麦、大豆、油脂作物、野菜を作り続けるという、新しい「地産地消」に夢をつないでいます。そして、今年で5回目の種まき会のご案内が私たちに届いたのです。

*緊張?!の種まき

 総勢6人、春に開通した常磐道をひた走りました。朝からJR常磐線磐城太田駅すぐ脇の杉内さんの80メートル四方くらいの広い!(と私たちには思える)畑に、黒い小粒の「きらりぼし」という品種の種を蒔きました。ミミズや小さな虫がたくさん動いていました。

          20㎝おきに、丁寧に蒔いていきます

 滋賀からは有名な「菜の花プロジェクト」の人たちが大勢駆けつけていました。名古屋の「チェルノブイリ救援・中部」、そのほか自然保護団体関係の人たちなど、80名にのぼる人たちの参加があり、地元の相馬農業高校の若者たくさんと、副市長さんも参加に驚きました。
 「来年はJR常磐線が北側から磐城太田駅まで開通します。春には黄色い菜の花のじゅうたんが電車から見渡せます!」と。この畑を選んだ理由がわかりました。来年春が楽しみです!

みんなで 蒔いた「きらりぼし」

 

*広がるソーラーシェアリング

 「えこえね南相馬研究機構」による、農地の上にソーラーパネルを取り付ける事業(ソーラーシェアリング)も進んでいました。許認可にとても手間がかかるということでしたが、すでに8か所で実現し、これからは太陽光だけでなく、ほかの自然エネルギーにも取り組み、池や山を活用して、地域の子どもたちの遊び場も作りたいと理事長の高橋さんは語りました。
 

 地元の野菜や米、果物による、お母さんたちのお昼ご飯のおもてなしも心に沁みました。

 相馬野馬追で有名なこの土地で、農をあきらめず、有機農業を復活させて、子どもたちに地域をつないでほしいという思いが、現地に行ったことで一層胸に響きました。都市に住む私たちの責任は重いです。