えっ?!教科書採択の議論は、ここでやらないの?

~小学校「道徳」教科書採択のための教育委員会定例会を傍聴して~

 来年度から、戦後初めて小学校での「特別の教科 道徳」が開始することから、「道徳」教科書の選定(採択)が行なわれるはずと、8月17日(木)午後、教育委員会定例会を傍聴に行きました。前回は、定例会の場で教育長を含む5人の委員が個人の考えを述べて、それぞれの委員から推薦意見が出され、それを合議の上で採択していました。当然そういう議論があるべきと期待して参加しました。
 しかし、今回は浅沼教育長の提出議案として、あらかじめ「日本文教出版」という会社名が入っている議案が傍聴者に配られました。なんだか様子がおかしい…?

 会議が始まり、この議案に入って、教育長から議案の説明がありました。
「(白紙で議案を提出していた)従来のやり方は、透明性はあるが、議案書の作成は事前にあるべきものであり、考え方を整理した」、事前に「教育委員会臨時会」を8月4日に開いて採択候補を議論し「日本文教出版」にすることを議案にしたという趣旨の説明です。
 この教育長からの説明の後、教育委員の4人全員がそれぞれ、どんな観点で8点の候補から選んだかということは、丁寧な「説明」が行なわれたと思います。それを受けて、浅沼教育長からも選定のポイントや道徳教育への教師への希望などが述べられたうえで、採択となりましたが、全会一致で「原案の通り決定」となりました。教育委員の間で話し合ったことが議案になったわけですから、それが覆ることは想定し難しいでしょう。

 会議終了後、傍聴席から「なぜ採択の手順を変えたのか」「臨時会については市民に知らされたのか」といった意見がつぎつぎに出ました。もっともな疑問です。
 それに対応したのは、教育委員会の事務局を担う市の職員でした。「臨時会開催については事前の広報はなかったが、議事録は今後ホームページで公開します」いうことで、なぜこういう手続き変更をしたかの説明はありませんでした。
 私たちが知りたいのは「誰がなぜ、このような変更を行なったのか」ということです。それが「行政が説明責任を果たす」と今世間でも厳しく問われていることがらでしょう。

 終了後に傍聴席から質問や意見が続出したことは、教育委員すべてが承知していることですが、答えることなく退席して職員対応に任せたことは、「説明責任を果たす」という姿勢が見られず残念です。教育長に、改めて経過と見解を質問したいと思っています。

 

※府中・生活者ネットワークでは改めて教育長に宛てて質問状を作成し、8月25日に提出しました。
9月4日以降に回答をいただける予定です。
質問状のPDFはこちらからご覧いただけます。