ケータイ、スマホの 「健康リスク 」と「依存症 」を考える
今や、携帯電話やスマートフォン(スマホ)は高校生のほぼ全員、中学生の半分、小学生で3人に1人が所有しています。それらの電磁波の健康リスクも課題ですが、講師のNPO市民科学研究室の上田昌文さんは、「ケータイやスマホなしでは一時も過ごせない」いわゆる依存症の問題こそ深刻だと言います。
成長期の子どもは大人に比べて心や体の発達に悪影響があるという研究がいくつも出ており、EUなどの国では子どもの携帯・スマホの利用を制限しています。しかし日本では、電波行政を管轄する総務省が中高生がメールやインターネットに時間を割き、トラブルも絶えないことを把握していながら、電磁波の基準値や使用規制は手つかずで、規制がメーカー寄りでとても緩いことに驚きました。
上田さんは「いろんな体験を積んで成長する大事な子ども時代に、スマホやゲーム漬けで過ごすことの負の側面が明らかになりつつあり、将来深刻さが増すだろう。しかしいま依存状態の子どもに対して、親だけで止めさせるのは難しい。社会の問題として対処する必要がある」と訴えられました。
今の大人が「便利さ」だけを追求する社会は、子どもたちが自然の中で遊ぶことの楽しさ、厳しさを体験できない環境を作ってしまいました。国が「依存症」と「健康リスク」に対する警告を発するように、大人の責任として声を上げ、自治体でも使用規制などに早急に取り組むことが必要であると、参加者と共に認識した学習会でした。