謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 

謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

 「日本国憲法」は、日本が再び戦争という最大の人権侵害行為を行なわないと、国民や他国の人々に対して宣言した約束です。しかし安倍政権はその事実ごと反故にしたいという本質が明らかになった2015年でした。「戦争法」が成立し、2016年はさらに厳しい局面を迎えるかもしれません。地域での取り組みが問われます。
 本年もよろしくお願いいたします。

◆マイナンバー制度が1月から開始! 本当に安心・安全・便利なのか…
  この1月からマイナンバー制度が始まり、個人番号カードの交付も開始されています。住民登録があるすべての日本人と在留外国人に番号が付けられています。マイナンバー制度では、自治体でも独自に利用する事務内容などを定めることになっており、12月の府中市議会でも条例の審議がありました。府中・生活者ネットは制度そのものに問題があるとして、条例案には反対しました。
  府中・生活者ネットでは暮れの1213日に「マイナンバーの基本学習会~マイナンバーの記入を求められたらどうすればよいの?」(講師は「共通番号いらないネット」の原田富弘さん)を開催し、マイナンバー制度の仕組みや問題点を学びました。多数の参加があり、関心の高さがわかりました。その報告をします。
 原田さんの説明でわかったことは、番号が付けられた目的と、情報漏えい対策についてきちんと国が説明していない(できない)ということです。

 

    講師の原田富弘さん

 国は「安心、安全、便利」と喧伝しています。いまのところは行政の持つ情報の利用範囲は法律や条例で規定されており、民間でも利用範囲は限定されており誇大宣伝気味です。しかし将来は申請手続きのオンライン化や民間取引に利用などに利用が計画されています。消費税の軽減のために買い物の際に利用する案は撤回されましたが、麻生財務大臣は「カードを持っていきたくなければそれでいい、その代わり減税はない」とまで言いました。カードの取得は任意ですし、公平・公正な社会実現のための社会基盤だとして進めながら、特定の意図を持った制度の運用ができることを明らかにした暴言でした。住民登録がない人もいますし、通知カードが届かない人もいます。そんな人にこそ本当は社会保障が必要なはずです。

 すでに番号は付番されていますから、ICチップ搭載の個人番号カードに引き換える必要はなく、通知カードだけで役割が果たせます。番号法では「個人番号」の記載義務はありません。罰則もありません。記載しなくても本人であることの確認は従来の証明書類で可能であることを、国は自治体に対し示しています。しかしこのことは周知されず「迷惑をかける、不利な扱いを受ける」と思わされていますし、会社や法人では断りづらい現実もあるでしょう。

◆国の「成長戦略」にマイナンバーが利用される…
 ICチップの部分に将来は健康保険証やクレジットカード、ポイントカードなど他のカードを統合する計画があります。これこそが、マイナンバー制度の目的のひとつであるというのが原田さんのお話でした。安倍政権の「成長戦略」の大きなツールであり、昨年6月に示された「世界最先端IT国家戦略」を見ると、マイナンバーが企業にとっていかに「お宝情報」であるかがわかります。医療や健診などのセンシティブ情報が含まれる個人情報が企業の利益のために保管され、国の「成長」のために利用されるということです。
 しかしセキュリティに100%はありません。世界中から私たちの個人情報は狙われるでしょう。監視や管理のために使わないという保証もありません。こんな社会が安心、便利、公正であるといえるのでしょうか。
 日本はすでに他国と比較にならないくらい住民登録や戸籍で把握されている社会です。さらにマイナンバー制度が本当に「民主的な社会」に必要なのか、こういう制度がなくても暮らせる社会を守るのかが問われているというお話でした。