わくわく市民の集い 田中夏子さん講演会と政策発表
3月25日(土)「わくわく市民の集い」を行ないました。
第1部は、田中夏子さん(社会学協同組合研究者、農園「風と土」園主)に、「人々が大切にしあう地域、仕事、社会をともに築くために」をテーマにお話を伺いました。
第2部では、2023年府中・生活者ネットワークの政策を発表しました。
田中さんは長野県で農園を運営しながら、地域に必要な仕事創り、生きがいのある仲間づくり、福祉の充実、を実践する「福祉の協同組合」の活動をされています。
行財政改革と民営化がすすんで、公共サービスは縮小し、それは生活の様々な領域に及んでいる。コロナ禍で明らかになったように、公衆衛生のような命と健康を守る社会的インフラの仕組みにおいても「縮小」が急速に深まってきていると危機感をもって話されました。
以下は田中夏子さんのお話の要旨です。
行政改革は2000年代以降、急速に進展しました。特に自治体合併が大規模に行われた2000年代半ばは、公衆衛生行政の弱体化(人員や予算の大幅削減)も進み、専門家は、もはやパンデミックに耐えられるような体制ではなかったと指摘しています。またここ数年は、食、農、水、種、森林等、私たちのいのちの源である分野でも、これらの管理を公共的な団体が責任をもって担う体制を後退させ、市場の論理にゆだねる方向で制度変更が進んできました。
民間の非営利・協同の陣営では、市場化による矛盾を回避するため、自分たちでも事業を担うと同時に、社会サービス等が持続可能なものとなるよう、また命をあずかる「コモンズ」の領域が、営利的な動機によって食い荒らされないよう、様々な取組を蓄積してきていますが、市場化の流れは止まりません。
そのような中、ヨーロッパでは、「民営化路線」の騎手だったイギリス等で、調査結果を踏まえその弊害が明らかになり、政府含めて路線転換の必要を認めざるを得ない事態となりました。そこで再公営化が広がりつつありますが、ただ公営に戻すだけではなく、事業を再び公的なコントロール下に置き、その運営・管理を住民組織が担ったり、当事者視点で事業を評価できることが必要です。イタリアの小規模自治体とコミュニティ協同組合の連携、それを応援する州法等が、参考になると考え研究中です。
私たちが置かれている局面を丁寧に説明していただきながら、命に係わる領域である「コモンズ 」を 市民の手に取り戻すために、とても分かりやすく希望を語って下さいました。